Cell 153:1036-1049 2013/05/23

Regnase-1(別名Zc3h12a)はIL-6やIL-12p40といったmRNAを3’ UTRを介して不安定化するヌクレアーゼである。Regnase-1欠損マウスはT細胞の活性化や形質細胞の蓄積、高グロブリン血症などを特徴とする自己免疫疾患様の病態を呈するが、その病態発症のメカニズムは明らかでない。ダブルノックアウトを用いた解析によりIL-6やIL-12p40といった炎症性サイトカインはこの病態にとって重要でないことが明らかとなり、我々は細胞特異的Regnase-1 floxマウスを作製し詳細な検討を行った。この結果、Regnase-1はT細胞の異常な活性化を抑制し、自己免疫疾患発症を制御する重要な因子であることを明らかにした。さらに、c-RelがRegnase-1の標的mRNAであることを新たに同定し、Regnase-1欠損マウスの病態に一部関与していることを示した。注目すべきことに、Regnase-1は恒常的に発現しており、T細胞刺激依存的にMalt1によって切断されることを見出した。このようなMalt1によるRegnase-1分解は標的mRNAを安定化しT細胞の活性化を転写後レベルで制御していることを明らかにした。以上より、T細胞においてRegnase-1発現量の変化は厳密に制御されておりT細胞の活性化を制御する上で重要であることを証明した。