水間 奎太(医D3/2022年時点)新興ウイルス感染症研究グループ

Q1 微研に来られた経緯を教えて下さい。

博士課程への進学を決めてから、研究室選びに頭を悩ませていた時に、当時微研でポスドクをされていた方とお話させていただく機会に恵まれまして、その時のご縁で現在岩崎研に所属しています。私はそれまで扱っていたブニヤウイルス、あるいは近縁なアレナウイルスの分子生物学を研究したいと考えていたのですが、先輩から聞いた岩崎研の研究はまさにそれと合致するもので、すぐに「そこで研究してみたい。岩崎先生と直接お話したい。」と思ったことをよく覚えています。当時の岩崎研にはポスドクも大学院生もおらず、今行けばそれだけ濃度の高い指導を受けられるかもしれない、という点も大きな要因でした。

Q2 水間さんは獣医学科を卒業されています。獣医ではなく研究の道を選んだ理由を教えて下さい。

私は、はじめから人獣共通感染症の原因になるウイルスの研究がしたかったので、そのような研究を行なっていた北海道大学獣医学科を進学先に選びました。したがって、研究者になる一環として獣医になるための勉強をしていたので、職種として獣医師を選ぶつもりはありませんでした。研究には直接関連しない獣医師になるための勉強をすることに、はじめは不安もありましたが、いざ入学して学んでみると案外楽しかったですし、現在獣医業界で問題となっている感染症の実態を理解することは、ニーズに合った研究を発想することにもつながるので、研究者を目指すために獣医学科を選択して良かったと振り返っています。

Q3 現在の研究テーマを教えて下さい。

新興ウイルス感染症であるCovid-19が世界中で大きな問題となっていますが、岩崎研では、同じく新興ウイルス感染症であり、ヒトに高い病原性を示すアレナウイルスの研究を行なっています。ヒトに病気を起こすアレナウイルスはいくつか知られていますが、その中でもラッサウイルスは最も感染者数が多く、致死率も高い一方で有効な治療薬がないことが大きな問題となっています。私の研究テーマは、ラッサウイルスの新たな治療薬になり得るような化合物を探索し、抗ウイルス効果と作用機序を調べることです。作用機序を調べることは、ウイルスの細胞内増殖メカニズムを解き明かすことにもつながります。岩崎先生には、抗ウイルス薬の作用機序を明らかにすることの重要性を指導していただいており、やりがいを感じています。

Q4 博士号取得を検討している皆さんにメッセージをお願いします。

将来を研究職に就こうと考えた時に、企業の研究員や公務員を目指すのか、あるいは大学に残るのかという選択は、とても悩ましいものだと思います。私は、博士課程に進学することを選びましたが、その一番の決め手は最も興味のある研究を続けていきたいという熱意でした。まだ大学院生として、自ら研究プロジェクトを発案し、実行するというところまではできていませんが、将来やりたい研究を行う、そのために今必死に習熟しようとする博士課程での生活は私にとっては大変充実しています。是非私と一緒に研究者を目指しましょう。