研究成果とサポート

 

はじめに

 哺乳類の精巣は、精細管と呼ばれる細い管から成り立っています(右図A)。その断面を見ると管壁は、支持細胞であるセルトリ細胞と精子形成にあずかる精細胞で構成されています(右図B)。精子形成は外側の生殖幹細胞である未分化精原細胞から機能的な精子 として内腔へと放出するまでの分化過程で、以下の大きく3つの段階に分けてとらえることができます(右図C)。

1. 生殖幹細胞の自己複製とその増殖・分化。
2. 精母細胞の減数分裂と遺伝子の組み換え。
3. 半数体精子細胞における精子への劇的な形態形成。

 このような複雑な過程を経て、精巣中に存在するわずかな生殖幹細胞 から膨大な精子がほぼ一生涯にわたり日夜生産され続けるわけですから、この過程には様々な遺伝子がかかわり、厳密な制御が必要とされることが容易に理解されます。
私たちは、この生物学的に特徴ある精子形成過程の理解を進め、その成果に基づいた応用を目ざして、現在、以下の4つのテーマについて研究を進めてきました。

 1)生殖幹細胞の増殖と分化の制御機構

 2)精子形成にかかわる遺伝子群の特質

 3)男性不妊症の診断と治療へむけて

4)生殖毒性試験・環境アセスメントシステムの構築

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