脂質ナノ粒子のワクチンアジュバント としての有用性を実証 ―感染症に対する新たなワクチン開発に有用な知見―(吉岡研がACS Nanoに発表)

大阪大学微生物病研究所の吉岡靖雄特任教授、河合惇志さん(博士後期課程大学院生(研究当時))らの研究チームは、帝京大学薬学部、大阪大学薬学研究科、大阪大学蛋白質研究所などとの共同研究により、脂質ナノ粒子のサブユニットワクチン用アジュバントとしての有用性を評価し、

1)脂質ナノ粒子の組成・物性の違いにより、誘導可能な免疫応答が異なること、

2)組成を至適化することで、抗原特異的抗体のみならず、Th1型免疫をも強力に誘導可能なLNPを設計可能であること、

3)本LNPは感染症ワクチン用のアジュバントとして有用であることを明らかとしました(図1)。

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本研究成果は、米国科学誌「ACS Nano」に、2024 年 6月17日に公開されました。

タイトル:Lipid Nanoparticle with 1,2-Di-O-octadecenyl-3-trimethylammonium-propane as a Component Lipid Confers Potent Responses of Th1 Cells and Antibody against Vaccine Antigen

著者名:Atsushi Kawai, Masahiro Noda, Haruki Hirata, Lisa Munakata, Teppei Matsuda, Daiki Omata, Naoki Takemura, Sakura Onoe, Mika Hirose, Takayuki Kato, Tatsuya Saitoh, Toshiro Hirai, Ryo Suzuki, Yasuo Yoshioka

DOI:10.1021/acsnano.4c00278

 

 

 

 

  • 図1)脂質成分の一つとしてDOTMAを有する脂質ナノ粒子(LNP)は、抗原蛋白質と混合するだけで、抗原特異的な抗体産生のみならずTh1型免疫を強力に誘導し得ること、さらに、副反応が低いなど、アジュバントとして有用であることを明らかとした。

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