トキソプラズマ原虫の生体内CRISPRスクリーニング法を開発(山本研がCell Reportsに発表)

大阪大学大学院医学系研究科の大学院生の橘優汰さん(博士後期課程)、同微生物病研究所 山本雅裕教授(免疫学フロンティア研究センター、感染症総合教育研究拠点兼任)らの研究グループは、データサイエンスを駆使することで、病原性寄生虫「トキソプラズマ原虫」の病原性に関与する遺伝子を宿主生体内で網羅的に探索できる次世代技術(生体内CRISPRスクリーニング法)を開発し、トキソプラズマ原虫の決定的な病原性因子を多数同定しました。さらに宿主遺伝学改変技術と併用することで、生体内における病原体と宿主の免疫学的な相互作用を網羅的かつ選択的に解析可能であることを世界で初めて証明しました(左図)。

【研究成果のポイント】

  • トキソプラズマ原虫※1の生体内CRISPRスクリーニング法※2を開発、病原性因子を短期間かつ網羅的に同定することを可能に。
  • 宿主遺伝学改変技術と組み合わせることにより、宿主免疫を抑制する病原性因子だけを選別
  • データサイエンスが研究を飛躍的に加速させ、トキソプラズマ症の新規治療薬開発に期待

 

本研究成果は、2023年6月1日に米国科学誌「Cell Reports」(オンライン)に掲載されました。

タイトル:“Host genetics highlights IFN-γ-dependent Toxoplasma genes encoding secreted and non-secreted virulence factors in in vivo CRISPR screens”

著者名:Yuta Tachibana, Emi Hashizaki, Miwa Sasai and Masahiro Yamamoto

DOI:https://doi.org/10.1016/j.celrep.2023.112592

 

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  • 図)生体内CRISPRスクリーニング法と宿主遺伝学の併用による宿主・病原体相互作用の網羅的解析