伊川研の研究成果がPNAS誌に掲載されました

ヒトやマウスには約20,000の遺伝子がありますが、本研究では、文献検索とデータベース解析から、少なくともマウスとヒトで保存されており、精巣で多く発現する約1,000遺伝子を同定しました。次に我々は、精巣で多く発現する遺伝子群について、最新のゲノム編集技術(*1)を用いて遺伝子破壊マウスを作製しました。その結果、解析した遺伝子の7割にもあたる54個もの遺伝子が雄の生殖能力に必須ではありませんでした。このことは、遺伝子の発現様式だけでは、その役割や重要度が分からないことを示しています。同時に、これら54遺伝子を除く必須の遺伝子に的を絞った解析に専念することが、費用対効果の高い、不妊症の原因究明や避妊ワクチンの開発に繋がると期待されます。
本研究成果は、ゲノム編集技術を活用すれば、個体レベルで重要な遺伝子を先に選び出して研究を進められることを示しています。本プローチは、費用や労力・時間に対して得られる成果が大幅に改善されることから、生物学研究に躍進をもたらすと考えています。

(*1)ゲノム編集技術
ゲノム(遺伝子を含む遺伝情報)の任意の部位を、高い精度で編集できる遺伝子改変技術。今回は微生物の適応免疫システムを応用したCRISPR/Cas9システムを用いて遺伝子改変マウスを作製した。

 

大阪大学からのプレスリリース(ResOU)

共同研究機関Baylor College of Medicineからのプレスリリース