下岡 誠 (医D1/2024年時点)

Q1 微研に来られた経緯を教えて下さい。

私は、もともと動物(特に野生動物)に興味があり、獣医師を志して大学に進学しました。勉強を進めていくうちに、人と動物の両方で問題となる人獣共通感染症の存在を知り、中でもウイルスは国境を問わず人社会にも大きな影響をもたらしていることを知りました。獣医学の視点を活かしつつ、このようなウイルス感染症に関わる仕事をしたいと思い、ウイルス研究者を志すようになりました。

微研所属前にはラボ見学をさせて頂き、渡辺先生とお話させて頂くことができました。その際、フィールドから臨床までを視野に入れて研究を進めていきたいというビジョンに感銘を受け、さらに設立されたばかりのラボでたくさんのことを経験させて頂くことで自らが成長できるのではないかと思い、進学したいと思うようになりました。

また、微研は研究環境も素晴らしく、多くの素晴らしい先生方が集まっている研究所であるという点を知ったことも、微研で博士課程を送りたいと思ったきっかけでした。

Q2 研究の道を選んだ理由を教えて下さい。

実は獣医師になるまでには、結構多くのことを暗記しなければいけないのですが、私はこの暗記が苦手でした。少し捻くれているかもしれませんが、私は、むしろ教科書に載っていない新しいことを発見したいという思いもあり、研究の道に進みたいという気持ちが強くなっていきました。また、卒業研究においても微生物を扱った実験をしていたのですが、実際に目の前で起きている現象の結果を見るときのワクワク感や、それらをデータとしてまとめていく瞬間も好きだったので、博士課程に進学したいと思うようになりました。

Q3 現在の研究テーマを教えて下さい。

ウイルスは自身で増殖できず、その増殖を宿主細胞内の機能に依存しており、ウイルス因子と宿主因子の相互作用によって、ウイルスが増殖することが知られています。そのため、ウイルス増殖過程を明らかにするためには、ウイルス因子だけでなく、ウイルス増殖にどのような宿主因子が関与しているのかを明らかにすることが重要です。私は現在、RNAウイルスであるデングウイルスとインフルエンザを用いて、候補となる宿主因子を探索するための実験を進めています。

Q4 博士号取得後はどのような研究者になりたいですか?

将来的に研究分野で、自分のオリジナリティを確立できたらいいなと思っています。視野を広く持ち、新たなことにもチャレンジしていける研究者を目指したいです。また、ウイルスを多角的に捉えられる研究者になりたいと思っており、実際にフィールドで起こっている現象と実験室で明らかにするべきメカニズムとの繋がりを、常に意識して研究できるウイルス研究者を目指したいと思っています。

Q5 博士号取得を検討している皆さんにメッセージをお願いします。

所属1年目ですが、博士課程に進学して良かったと思っています。たしかに実験がうまくいかず試行錯誤することがあったりと大変な瞬間もありますが、このような経験のおかけで、自分で考える力や、コミュニケーション能力、課題に立ち向かうレジリエンスが少しずつ磨かれてきたように思います。博士課程の4年間は、自分自身が成長して、自らの手で研究結果を出していくという刺激的な日々になるのではないかと感じています。このような密度の濃い時間を過ごせていることを、幸せに感じています。