Advanced Seminar Series [ 12/8 (金) ] 菌類ウイルスの多様性と宿主とのせめぎ合い

2017年11月10日

イベント・セミナー

ウイルスは、生きとし生けるものに感染する。他の生物を合わせたとしても、ウイルスの多様性には敵わないと言われている(Principles of Molecular Virology)。それは、ゲノムの型が大きく7~8つに分類されることからも明かである。ウイルス生活環の多様性も然りである。単純すぎるかも知れないが、ウイルスを「ゲノムとキャプシドからなる感染性ナノ粒子」と定義することができる。近年、アメーバ、菌類等下等真核生物を舞台にウイルスハンティングが精力的に進められ、上記の定義に当てはまらないウイルスが多数見つかってきている。本セミナーでは、はじめに菌類ウイルスの一般的性状、他の界の宿主に感染するウイルスとの違いを概説し、最近見つかってきた変わり者マイコ(菌類)ウイルスの多様なライフスタイルを紹介する。例えば、キャプシドをコードしないハイポウイルス、他のウイルスのキャプシドを借り受けるヤドカリウイルス(Zhang et al., Nat Microbiol, 2016)、ミトコンドリアで複製するミトウイルス、等々である。

 

また、ウイルス/菌類宿主間の相互作用の多様性についても紹介する。真核生物である糸状菌は、2つの抗ウイルス防御機構を有する。一つは、菌類の細胞レベルで機能するRNAiであり、もう一つは集団レベルで機能する菌糸融合不和合性である。モデル糸状菌であるクリ胴枯病菌では、ある種のウイルスの感染によりRNAi鍵因子(Dicer, AGO)の転写レベルでの亢進(ウイルス防御反応)が認められる。一方、ウイルス側にはその亢進を抑制するRNAiサプレッサーがコードされる(ウイルスによる反撃)。最近、筆者らは、RNAi因子の転写制御機構の一端を明かにした(Chiba & Suzuki, PNAS, 2015; Andika et al., PNAS,2017)ので、紹介する。また、菌類を舞台に繰り広げられる多様な3者相互作用(植物/菌類/ウイルス)もあわせて紹介する。

 

本セミナーでは, このように「多様性」をキーワードとして、動物、植物に次ぐ第3極としての菌類のウイルス研究の重要性・魅力に焦点をあてる。

 

演 題

 「菌類ウイルスの多様性と宿主とのせめぎ合い」

演 者

鈴木 信弘 教授

(岡山大学 資源植物科学研究所 植物微生物相互作用グループ)

日 時 2017年12月8日(金) 午後4時~5時
場 所 微研融合棟1階・谷口記念講堂
ホスト 松浦 善治 教授(分子ウイルス分野)

※本件は微研の高度副プログラム及び医学系研究科の単位認定セミナーです。

連絡先:大阪大学微生物病研究所
感染症学免疫学融合プログラム推進室(内線8320)
E-mail: suishin*biken.osaka-u.ac.jp(*を@に変えて下さい)

印刷用ポスターはこちら

 

 

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