有効な治療薬のない難病 線維症の発症原理 を解明(審良研がImmunityに発表)

2020年3月18日

研究成果

大阪大学 大学院医学系研究科の福島清春 招へい教員、免疫学フロンティア研究センターの佐藤荘 准教授、審良静男 特任教授(微生物病研究所兼任)らの研究グループは、 新しい線維症関連遺伝子RBM7を発見し、この遺伝子による線維症発症メカニズムの一端を解明しました(図)。

同グループは、マウスモデルを用いた実験によって、線維化の発症時には非免疫系細胞の細胞死が起こり始めること、その死にゆく細胞からケモカイン※2の一種CXCL12が発現され、線維化の起点となるマクロファージであるSegregated nucleus containing atypical monocyte (SatM)が患部に集積することを明らかにしました。

上記の非免疫細胞で細胞死が起こる際に、RBM7という遺伝子が特異的に誘導される事を発見しました。この分子がNEAT1というnon-coding RNAの分解し、その結果、NEAT1が形成する核内構造体 (NEAT1-speckle)中に局在するBRCA1(DNAに入ったダメージを修復するタンパク質)の核内分布に変化が起こり、その結果、細胞死の誘導が起こることを世界で初めて明らかにしました。

現在、線維症に有効な薬は1剤も無い状況ですが、RBM7を標的とした研究を行う事により、これまで有効な治療法のなかった線維症に対する創薬を開始することが可能となります。

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本研究成果は、2020年3月に米国の科学雑誌 『Immunity』 にオンライン掲載されました。

【タイトル】 ”Dysregulated expression of the nuclear exosome targeting complex component RBM7 in non-hematopoietic cells licenses the development of fibrosis

【著者】Kiyoharu Fukushima, Takashi Satoh, Fuminori Sugihara, Yuki Sato, Toru Okamoto, Yuichi Mitsui, Sachiyo Yoshio, Songling Li, Satoshi Nojima, Daisuke Motooka, Shota Nakamura, Hiroshi Kida, Daron M. Standley, Eiichi Morii, Tatsuya Kanto, Motoko Yanagita, Yoshiharu Matsuura, Takashi Nagasawa, Atsushi Kumanogoh, and Shizuo Akira

 

関連リンク

Immunity誌論文ページ

 

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