BIKEN次世代ワクチン協働研究所  ウイルスワクチングループ/蝦名研究室

未だにワクチンが開発されていない感染症は、液性免疫だけでは制御できない病原体や培養不可な病原体を原因とする感染症、モデル動物が存在しない等で有効性の評価が難しい感染症がほとんどです。ウイルスワクチングループでは、それら開発困難な感染症をターゲットとした「日本発世界初のワクチン」の開発を目標に掲げてウイルス研究を進めています。

 

次世代ワクチンプラットフォームの開発を目指したウイルス研究

様々な生物を宿主とするウイルスの特性はワクチンに応用できると考えられます。ウイルスワクチングループでは、ウイルス工学的技術を駆使して、ウイルスベクターワクチン、核酸ワクチン、レプリコンワクチン、VLワクチン等キーワードとした研究を行っています。

人体にも自然界にも悪影響を及ぼすことのない、強力かつ安全な新規ワクチンプラットフォームの創出を目指しています。

ウイルスワクチングループの特色
1) ワクチン研究という性質上、多種多様なウイルスを取り扱っています。
研究中のウイルス: SARS-CoV-2, Coxsackievirus B3, Parvovirus B19, Chikungunya virus, measles virus, mumps virus, 他にもInsect viruses(Nodaviridae, Iflaviridae)など
2) 「Viruses adaptation」に興味を持っています。
ウイルスを異なる宿主や生活環境(温度等)に適応させることでその性質を変化させることができます。これを突き詰めることで弱毒生ワクチンが作れます。
3) ウイルス種間の共存、ウイルスの不均一性に興味を持っています。
単独で複製できずに、他のウイルスにおんぶに抱っこで生き残るウイルス(Defective viral genomesやアデノ随伴ウイルスのようなもの)の生態を理解し、ワクチンに応用したいと考えています。
4) BIKEN財団との強力な連携により基礎研究と応用研究を両立しています。

メンバー

  • 特任教授: 蝦名 博貴(兼)

最近の代表的な論文

  • (1) Immunogenicity and safety of a live-attenuated SARS-CoV-2 vaccine candidate based on multiple attenuation mechanisms. Suzuki-Okutani M., et al., bioRxiv doi: https://doi.org/10.1101/2024.03.03.582873
    (2) Protocol to isolate temperature-sensitive SARS-CoV-2 mutants and identify associated mutations. Okamura S., et al., STAR Protoc. (2023) May 15;4(2):102352.
    (3) Versatile live-attenuated SARS-CoV-2 vaccine platform applicable to variants induces protective immunity. Yoshida A., et al., iScience (2022) Nov 18;25(11):105412.
    (4) Safety and immunogenicity of parvovirus B19 virus-like particle vaccine lacking phospholipase A2 activity. Suzuki H., et al., Vaccine (2022) 40(42):6100-6106
    (5) Could live attenuated vaccines better control COVID-19? Okamura S., et al., Vaccine (2021) Sep 15;39(39):5719-5726.v
    (6) Fusion of parvovirus B19 receptor-binding domain and pneumococcal surface protein A induces protective immunity against parvovirus B19 and Streptococcus pneumoniae. Suzuki H., et al., Vaccine (2021) 39(36):5146-5152