遺伝情報実験センター  ゲノム情報解析分野/Standley研究室

ゲノム情報解析分野では、バイオインフォマティクスによるアプローチにより、TCR/BCRレパトアや、タンパク質-核酸相互作用、タンパク質または核酸配列の多重配列アラインメントなど、生物学的実験が困難な研究テーマを対象に、大型計算機を駆使した研究を展開しています。

BCR/TCRレパトア解析

免疫系では、無数にある非自己分子に対してそれぞれ特異的に反応する膨大な種類の免疫受容体(B細胞受容体: B cell receptor, BCR、T細胞受容体: T cell receptor, TCR)を準備しており、これをBCR/TCRレパトアといいます。病原体由来の分子など疾患の原因ともなる分子を認識し得るBCR/TCRレパトアの解析は、疾患に対するバイオマーカーや、治療薬の開発にもつながります。特に、遺伝子操作した免疫受容体による治療法の開発は、現在製薬分野において目覚ましく発展しています。研究室では、新たな治療法の発見を加速するために、免疫受容体の配列情報を探るバイオインフォマティクス的方法を開発しています。

タンパク質-核酸相互作用

DNA複製や遺伝子発現など我々生命体の最も根幹となる現象は、タンパク質と核酸の相互作用により厳密に制御されています。免疫系でも、遺伝子の発現制御を担うDNA結合タンパク質は極めて重要な機能を果たしています。更に最近では、RNA結合タンパク質(RNA-binding proteins, RBPs)が免疫応答の強さや持続期間を決めるだけでなく、恒常性維持にも重要な役割を果たしていることが明らかになりました。研究室では、タンパク質の核酸結合部位を予測するツールを開発し、多様なタンパク質-核酸相互作用の解析を通じてRBPによる免疫制御機構の解明を目指し研究を行っています。

多重配列アラインメント

タンパク質や核酸の比較解析において、多重配列アラインメントは重要なステップです。私たちの開発しているMAFFTプログラムは、多重配列アラインメントプログラムとして最も広く使われているものの一つです。2002年に最初のバージョンを公表して以来、正確さと計算速度の向上のため、また、色々なタイプの新しい問題に対応するために、継続的に改良を行ってきました。例えば、ncRNAやタンパク質の立体構造を考慮したアラインメント、系統樹推定のための対話的な配列選択などに対応してきました。現在、大規模な配列データ解析の必要に対応するために、より正確な方法をより大きなデータに適用可能にする改良を進めています。

メンバー

  • 教授: Daron M. Standley
  • 准教授: 加藤 和貴
  • 特任准教授: 寺口 俊介(兼)
  • 助教: Li Songling
  • 特任助教: Floris J.Van Eerden
  • 特任研究員: John Rozewicki
  • 特任研究員: Jan Wilamowski
  • 技術員: Ana Cecilia Davila Crespo

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最近の代表的な論文

  • (1) Kotai Antibody Builder: automated high-resolution structural modeling of antibodies. Yamashita, K. et al. Bioinformatics 30, 3279-3280 (2014).
    (2) Quantifying sequence and structural features of protein-RNA interactions. Li, S., Yamashita, K., Amada, K. M. & Standley, D. M. Nucleic Acids Res 42, 10086-10098 (2014).
    (3) Malt1-induced cleavage of regnase-1 in CD4(+) helper T cells regulates immune activation.Uehata, T. et al.Cell 153, 1036-1049 (2013).
    (4) MAFFT multiple sequence alignment software version 7: improvements in performance and usability. Katoh, K. & Standley, D. M. Mol Biol Evol 30, 772-780 (2013).
    (5) SeSAW: balancing sequence and structural information in protein functional mapping. Standley, D. M., Yamashita, R., Kinjo, A. R., Toh, H. & Nakamura, H. Bioinformatics 26, 1258-1259 (2010).
    (6) Zc3h12a is an RNase essential for controlling immune responses by regulating mRNA decay. Matsushita, K. et al. Nature 458, 1185-1190 (2009).