Nat. Immunol. 14:34-40 2012/11/11
炎症は、感染等に対する重要な生体防御応答の一つであり、局所への好中球の浸潤等を伴います。しかし、過剰な炎症は、臓器障害を引き起こしたり、自己免疫疾患やアレルギー疾患の発症原因の一つになったりします。ところが、炎症の調節機構、特に、好中球の局所への浸潤がどのように調節されているかは、まだ十分に明らかにされておりません。本研究によって、好中球の細胞表面に抑制化レセプターであるPILRαが強発現していることが明らかになりました。さらに、PILRα欠損マウスを作製することによって好中球の発現するPILRαの機能を解析した結果、PILRαが炎症の際にインテグリンという接着分子を介して局所への好中球の浸潤を抑制し、過剰な炎症が起こらないようにしていることが判明しました。以上より、PILRαは炎症の調節分子として重要な機能を担っていることが明らかになりました。