概要

 ワクチンは免疫のしくみを介して生体に作用することで感染症を予防します。天然痘やポリオの克服に代表されるように最も成功した医療技術の一つです。最近の免疫学のめざましい発展は、ワクチンの作用メカニズムを分子や細胞の言葉によって説明することを可能にしつつありますが、未だに分からないことも多いのも事実です。最近では感染症の枠組みをこえ、アレルギー、自己免疫疾患、がん、生活習慣病に対しても「ワクチン」によるアプローチが期待されるようになっています。次世代のワクチンには a) 高い安全性、b) 確実な有効性、c) 接種や投与の簡便性、の3つの要件が求められていますが、この3つの要件を満たした次世代ワクチンを開発するためには、1)優れたワクチン抗原T細胞エピトープ、2)標的となる抗原提示細胞、3)標的疾患に対して適切なアジュバント、の探索・同定と、それらの科学的知見の集積が必須です。

BIKEN次世代ワクチン協働研究所・ワクチン動態プロジェクトでは、

T細胞エピトープの探索・同定

抗原提示における免疫細胞間相互作用の理解

A/D型CpG核酸アジュバントの開発・改良

の3つのテーマについて研究を進め、ワクチンと生体免疫システム間の相互作用の深い理解と、それに基づいた「次世代ワクチン」の開発に貢献したいと考えています。

3つのテーマの詳細は「研究テーマ詳細」を御覧ください。