大阪大学　21世紀COEプログラム　　感染症学・免疫学融合プログラム

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研究内容

研究課題：自然免疫機構の解析

■審良静男プロフィール

1977年大阪大学医学部卒業。1977年から1980年内科医。1984年大阪大学大学院修了後、1985年から1987年米国カリフォルニア大学バークレー校研究員。大阪大学細胞工学センター助手、助教授、兵庫医科大学生化学教授を経て、1999年より大阪大学微生物病研究所癌抑制遺伝子研究分野教授。

■研究分担者

Cevayir Coban (Postdoctral Fellow of COE)

■研究概要

免疫応答は自然免疫と獲得免疫に分けることができる。自然免疫は、絶えず病原体の侵入の脅威に曝されている生体にとって、第一線の防御システムとして重要な役割を果たしている。しかし、下等動物から哺乳動物まであまねく存在するこの免疫系は、白血球、マクロファージなどの食細胞が病原体の貪食・処理を行うだけの非特異的な免疫反応と考えられてきた。一方、脊椎動物だけに存在する獲得免疫は、免疫反応の特性といえる特異性と多様性を規定する高度に進化した免疫システムとして重要視され、これまで精力的に研究されてきた。しかし、最近Toll-like receptorsの発見、機能解析を通じて自然免疫が極めて特異的に病原体と自己を区別しうること、さらに自然免疫の活性化が獲得免疫の誘導に必須であることがあきらかとなり、自然免疫に対する考え方が従来と大きく変わってきた。本研究では、Toll-like receptorsを中心に、感染防御における自然免疫の役割をあきらかにすることを目的とする。
具体的には、１）Toll-like receptorsは、病原体の構成成分を認識するが、サイトカインの場合と異なり、同一のToll-like receptorが構造の全く異なる複数のリガンドを認識する。また、最近、Toll-like receptorsが病原体成分だけでなく内因性の炎症にかかわるリガンドを認識することもあきらかとなった。新たな病原体構成成分や内因性リガンドの同定をおこなう。
２）Toll-like receptorsは、受容体ごとにそのシグナル伝達経路が異なることがあきらかとなってきた。そのシグナル伝達経路の相違の分子機構の解明をおこなう。
３）Toll-like receptorsは、自然免疫と獲得免疫の橋渡しの役割を果たす。その橋渡しの分子機構の解明をおこなう。

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■本研究にかかわる業績

1. Akira, S., Takeda, K., Kaisho, T.: Toll-like receptors: critical proteins linking innate
and acquired immunity. Nat. Immunol. 2: 675-680, 2001.

2. Hemmi, H., Takeuchi, O., Kawai, T., Kaisho, T., Sato, S., Sanjo, H., Matsumoto, M., Hoshino, K., Wagner, H., Takeda, K., and Akira, S. A Toll-like receptor recognizes bacterial DNA. Nature, 408, 740-745, 2000

3. Hemmi, H., Kaisho, T., Takeuchi, O., Sato, S., Sanjo, H., Hoshino, K., Horiuchi, T., Tomizawa, H., Takeda, K., Akira, S. Small anti-viral compounds activate immune cells via the TLR7-MyD88-dependent signaling pathway. Nature Immunol. 3, 196-200, 2002.

4. Yamamoto, M., Sato, S., Hemmi, H., Sanjo, H., Uematsu, S., Kaisho, T., Hoshino, K., Takeuchi, O., Kobayashi, M., Fujita, T., Takeda, K., Akira, S. Essential role for TIRAP in activation of the signalling cascade shared by TLR2 and TLR4. Nature. 420:324-329, 2002.

5. Yamamoto, M., Sato, S., Hemmi, H., Hoshino, K., Kaisho, T., Sanjo, H., Takeuchi, O., Sugiyama, M., Okabe, M., Takeda, K. and Akira, S. Role of adaptor TRIF in the MyD88-independent Toll-like receptor signaling pathway. Science, 301:640-3, 2003.　