新規弱毒ロタウイルスワクチンの開発に向けた基盤技術を確立(小林研がPLOS Pathogensに発表)

本研究所ウイルス免疫分野のChen Zelinさん(大学院医学系研究科博士課程4年)、小瀧将裕助教、小林剛教授らの研究チームは、和歌山県立医科大学および国立健康危機管理研究機構との共同研究により、ロタウイルス人工合成系を用いて、弱毒ロタウイルスワクチン候補株を作製する基盤技術を確立しました。本手法は、新たな流行株が出現した際にも迅速に対応できるワクチン開発基盤として活用できる可能性があり、将来的なロタウイルス感染症対策への貢献が期待されます。

 【研究成果のポイント】

・ロタウイルスゲノムのコドン配列を改変することで、増殖性を大きく低下させた弱毒ロタウイルスを作製した。
・作製した弱毒ウイルスは免疫応答を誘導し、マウスモデルにおいてロタウイルス感染に対する防御効果を示すことを明らかにした。
・ウイルス外殻タンパク質を入れ替えることで、異なる遺伝子型のロタウイルスに対応するワクチン候補を作製できることを示した。

背景と成果

ロタウイルスは乳幼児に急性胃腸炎を引き起こし、深刻な公衆衛生上の課題となっています。現在、ロタウイルス感染症に対する特異的治療薬は存在しておらず、ワクチン接種が最も有効な予防手段とされています。 研究チームは、ロタウイルス人工合成系を用いて、ウイルスゲノムのコドン配列を改変することにより、弱毒ウイルスを作製する基盤技術を確立しました。また、作成した弱毒ロタウイルスが免疫応答を誘導し、マウスモデルにおいてロタウイルス感染に対する防御効果を示すことを明らかにしました。さらに、ウイルス粒子表面に存在する外殻タンパク質(VP4またはVP7)を、異なる遺伝子型由来する外殻タンパク質に入れ替えることで、異なる抗原性および免疫原性を持つ弱毒キメラウイルスの作製にも成功しました。本成果は、より簡便で低コストな新規ロタウイルス弱毒生ワクチン開発プラットフォームの構築に向けた重要な一歩です。

本研究成果は、国際学術誌「PLOS Pathogens」(オンライン)に2026年7月7日付で掲載されました。

 

タイトル: A rotavirus vaccine candidate attenuated by codon deoptimization protects neonatal mice against wild-type virus infection

著者名: Zelin Chen, Tomohiro Kotaki, Daisuke Motooka, Shintaro Sato, Yusuke Sakai, Katsuhisa Hirai, Shohei Minami, Takahiro Kawagishi, Yuta Kanai, Takeshi Kobayashi

DOI: https://doi.org/10.1371/journal.ppat.1014292