miR-195はEbf1欠損下においてB細胞分化プログラムを再構築する(幸谷研がeLifeに発表)

大阪大学微生物病研究所 宮竹佑治助教(当時)、鎌倉武史助教、幸谷愛教授らの研究グループは、単一のマイクロRNA(miRNA)によってB細胞分化において重要な転写因子であるEBF1の欠損を補完できることを明らかにしました。

 

転写因子は細胞運命を決定する重要なタンパク質であり、発生過程において緻密に制御されています。転写因子EBF1はB細胞分化に必須であるといわれており、EBF1欠損下ではB細胞系列決定を示す表面マーカーであるCD19が発現されず、B細胞分化能を喪失していました。このEBF1欠損造血幹細胞にマイクロRNA miR-195を遺伝子導入し、重度免疫不全マウスへ移植したところ、CD19の発現が認められ、Pax5などのEBF1によって制御されるB細胞関連遺伝子が上昇し、B細胞分化能を獲得していることを発見しました。

 

造血器腫瘍では転写因子EBF1の変異に起因するものがあり、EBF1を発現していないホジキンリンパ腫細胞株に対してEBF1を強制発現すると、B細胞の表現型が回復し、増殖能が低下することが報告されています。これらのことから、miR-195がEBF1変異を有する造血器腫瘍の創薬標的となりうる可能性が示唆されます。

 

 

【研究成果のポイント】

・単一のマイクロRNA(miRNA)によって細胞運命の決定に必須といわれてきた転写因子の機能を補完できることを発見。

・マイクロRNA(miRNA)が転写因子異常を認める造血器腫瘍の創薬標的となりうる可能性。

 

本研究成果はeLifeに2026年2月6日に公開されました。

Title: A single microRNA miR-195 rescues the arrested B cell development induced by EBF1 deficiency

Authors: Yuji Miyatake,Takeshi Kamakura, Tomokatsu Ikawa, Ryo Yanagiya, Ryutaro Kotaki, Kazuaki Kameda, Ryo Koyama-Nasu, Kazuki Okuyama, Ken-ichi Hirano, Hiroyuki Hosokawa, Katsuto Hozumi, Masato Ohtsuka, Takahiro Kishikawa, Chikako Shibata, Motoyuki Otsuka, Reo Maruyama, Kiyoshi Ando, Tomohiro Kurosaki, Hiroshi Kawamoto, Ai Kotani

Doi: 10.7554/eLife.101510.2

 

  • 図)miR-195によりEBF1欠損が補完され、B細胞分化能を獲得する