PLoS Pathog. 7:e1002068 (2011)2011/05/26
高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1亜型は現在、中国、インドネシア、ベトナム、エジプトなどの一部地域において鳥類における感染流行域を獲得している。特に近年、エジプトにおける偶発的なヒト感染事例が頻発しており、2009年以降、全世界の半数以上のヒト感染事例が同国より報告されている。本研究では、エジプト流行株の系統発生およびレセプター糖鎖に対する結合特異性を包括的に解析した。その結果、これまでよりヒト型レセプター糖鎖に高い結合親和性を獲得した新しいウイルス群が鳥類間伝播の過程で出現していることを明らかにした。本研究結果は、現在エジプトでヒト感染例数が際立って多い原因を説明しうるものであると同時に、ヒトにより感染しやすい変異ウイルスが鳥類間伝播の過程で出現する可能性があることを示した初めての報告である。