Nature Immunol. 11: 936-944 (2010)

マクロファージは機能的にM1型とM2型との2種類存在している事が現在知られており、前者のM1マクロファージはバクテリア、ウイルスや真菌類の感染時に活性化し、それらの病原体の排除に重要なTNFやNOを産生する。一方で、ある種のマクロファージは寄生虫感染、アレルギー応答、脂肪代謝、創傷治癒、癌転移等に寄与しており、これらのマクロファージはM2マクロファージと呼称され、Arginase1、Ym1、Fizz1等の遺伝子をM2マクロ ファージマーカーとして発現する。しかしながら、これらのM1マクロファージ及びM2マクロファージのskewingの作用機序は未だ明らかとなっていなかった。本研究で、Histone H3 Lysine27 me3(H3K27me3)の脱メチル化酵素であるJumonji domain containing 3 (Jmjd3) が、アレルギー応答や寄生虫感染時に誘導されるM2マクロファージのskewingに寄与していることが明らかとなった。更に、次世代シークエンサーを用いたChromatin immunoprecipitation on sequence(ChIP-seq)の技術を応用することによって、転写因子であるInterferon regulatory factor 4(IRF4)がJmjd3の直接のターゲットであり、このmacrophageのskewingに必要不可欠であることを突き止めた。