Nature 458: 524-528 (2009)

破骨細胞は単球系血液細胞から分化する「骨を食べるマクロファージ」で、骨を融解・吸収する能力を持つ。関節リウマチや骨粗鬆症など骨が壊れていく病気では、破骨細胞機能の亢進が病態形成に重要な役割を果たしていることが知られていた。今回、最新式の多光子励起顕微鏡を駆使して生きたマウスの骨組織内を観察することに成功し、これにより血液中に存在する脂質メディエーターであるスフィンゴシン1リン酸(S1P)が破骨細胞前駆細胞の遊走を制御していることを明らかにした。さらに、S1P作用をもった薬剤が骨吸収抑制作用を持ち、新しい骨疾患治療薬として有望であることも示した。(This work is supported by the Intramural Research Program of NIAID, NIH, and partly by the Human Frontier Science Program.)