Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 106: 17711-17716 (2009)

哺乳動物細胞のGPIアンカー型タンパク質のホスファチジルイノシトール(PI)部分は、ジアシル型ではなく、ほとんどが1アルキル2アシル型であることが特徴である。小胞体で、PIからGPIアンカーが生合成される過程で、1アルキル2アシル型に変換されることがわかっていたが、アルキル構造の由来が不明であった。今回、ペルオキシソームのアルキルリン脂質生合成系が、1アルキル2アシル型GPIの生合成に必要であることを明らかにした。ペルオキシソームで生合成されたアルキル構造を持つ脂質が小胞体にもたらされ、そのままあるいはさらに変化したものが、1アルキル2アシル構造の供与体になると考えられる。すなわち、GPIアンカー型タンパク質の生合成には、小胞体、ゴルジ体に加えて、ペルオキシソームが関わっていることがわかった。