アクセサリー蛋白質の機能から探るウイルスの生活環

2012年7月12日

イベント・セミナー

演題: アクセサリー蛋白質の機能から探るウイルスの生活環

演者: 入江 崇 先生
      (広島大学大学院医歯薬保健学研究院 
       基礎生命科学部門 ウイルス学研究室)

日時: 2012年7月30日(月)16:00 ~

場所: 微生物病研究所 本館1階 微研ホール

  パラミクソウイルス科は、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、イヌジステンパーウイルス、ニパウイルスなど、ヒトや動物の重要な病原ウイルスを含むウイルス群であり、(-)鎖一本鎖RNAをゲノムとするエンベロープウイルスである。 他の(-)鎖RNAウイルスと同様に、ゲノム上にはヌクレオカプシドを形成するN、エンベロープの裏打ちをするM、ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼの本体であるLとそのサブユニットであるP、ウイルス粒子表面に突出した膜貫通蛋白質であるFやHNなどの蛋白質が直列にコードされているが、多くのパラミクソウイルスではP遺伝子からP蛋白質以外にCやVと呼ばれる蛋白質が、転写時のRNA編集や翻訳時の読み枠を変えることで合成されるのが特徴である。 これらは必ずしもウイルスの増殖に必須ではないことから「アクセサリー蛋白質」と呼ばれるが、実際にはウイルスの生活環において様々な重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。
  本発表では、齧歯類を自然宿主とする呼吸器病ウイルスであり、パラミクソウイルスのプロトタイプであるセンダイウイルスをモデルに、出芽、ウイルスRNA合成、宿主の自然免疫からの回避などにおけるアクセサリー蛋白質の役割について、我々の最近の知見を中心に紹介するとともに、今後の興味について簡単にお話させていただきたい。                                   

連絡先: 大阪大学微生物病研究所
      感染症国際研究センタ― ウイルス研究G
      森田 英嗣
      06-6879-8335
      moritae@biken.osaka-u.ac.jp 

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