1/28(火)セミナー開催:脊椎動物のゲノム多様性を俯瞰して:コールドスポットの先に見えてきたもの
2025年1月1日
イベント・セミナー
演 題と講演者 |
脊椎動物のゲノム多様性を俯瞰して:コールドスポットの先に見えてきたもの
工樂 樹洋 先生 国立遺伝学研究所 分子生命史研究室 教授 |
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日時 |
2025年1月28日(火)15:30〜 |
場所 | 大阪大学 微生物病研究所本館 微研ホール(吹田キャンパス) |
概要 |
我々ヒトの基本的な生理や形態の特徴の多くは約5億年前の脊椎動物の進化の黎明期に獲得されたと考えられる。生命科学の知識の大半は、ヒトや伝統的な実験動物における尊い研究の歴史が生みだしたものであるが、脊椎動物全体の多様性のうえでは、それらの生物種はごく一部の系統に属しているに過ぎない。脊椎動物黎明期のゲノム構成を推測したり、ヒトの系統へ至るその後の変遷をつぶさに辿るにあたって、これまでの分子系統学の知見や近年の多様な種についてのゲノム配列情報の蓄積が多大な役割を果たしてきた。私の研究室では、さらに偏りの少ない比較に基づく進化過程の再構築を実現すべく、DNA配列情報の乏しい「コールドスポット」を埋めようと、これまで円口類や爬虫類を扱い、近年では軟骨魚類(サメ・エイ・ギンザメ類)に注力している。傍らで、メダカやウズラなどの日本ゆかりの実験動物に加えて短命魚アフリカンターコイズキリフィッシュの情報整備も手掛けている。本発表では、多様な脊椎動物のゲノム構造の多様性を俯瞰しながら、ゲノム構築パターンと遺伝子セットについてどういった種間差異が顕わになったのかを紹介し、それらの差異が細胞から個体レベルの表現型の違いにどう繋がりうるかについて議論する。「変化しやすさ」のゲノム内の偏りやゲノムサイズの変化がもたらす効果について、分野を超えた議論に向けた何らかのインスピレーションに繋がれば幸いである。 |
References |
Yamaguchi K, Uno Y, Kadota M, Nishimura O, Nozu R, Murakumo K, Matsumoto R, Sato K, Kuraku S. Elasmobranch genome sequencing reveals evolutionary trends of vertebrate karyotype organization. Genome Res. 2023 Hara Y, Kuraku S. The impact of local genomic properties on the evolutionary fate of genes. Elife. 2023 Yamaguchi K, Koyanagi M, Sato K, Terakita A, Kuraku S. Whale shark rhodopsin adapted to deep-sea lifestyle by a substitution associated with human disease. Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 |
※本セミナーは医学系研究科、生命機能研究科、理学研究科の修士・博士課程の単位認定セミナーです。
Contact︓微生物病研究所生体統御分野 石谷太
研究室/内線:8358
mail: ishitani*biken.osaka-u.ac.jp (*を@に変えて下さい)
ポスター(PDF)はこちらから
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