12/6(金)セミナー開催:空間オミクス解析 ー代謝メカニズムのin situ解析ー
2024年11月12日
イベント・セミナー
演 題と講演者 |
空間オミクス解析 ー代謝メカニズムのin situ解析ー
杉浦 悠毅 先生 京都大学大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター 特定准教授 |
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日時 |
2024年12月6日(木) 16:00~ |
場所 | 微研融合棟1階 谷口記念講堂 |
概要 |
生理活性分子は私たちの生理機能を緻密に制御する。例えば、脳内の神経伝達物質の微妙なバランスの変化は、日常の感情変動に影響を与える。セロトニンの不足は気分が落ち込む一因となり、ドパミン放出の増加は喜びを感じさせる原因の一つである。しかし、これら生理活性分子の具体的な作用部位や機序は完全には解明されておらず、そのため精神薬の開発には未だ探求の余地がある。この限界は、低分子神経伝達物質を特定の組織や細胞で可視化する手段が限られていることに起因する。 イメージング質量分析技術は、生理活性分子の組織内局在を特定する有効な手段として長年研究されてきた。特に、我々が開発したいくつかの試料前処理法は、モノアミンやステロイドホルモンなどを視覚化するための大きな進歩となったが、プロスタグランジンなどのpg/tissue-mgオーダーの一部分子には未だ感度が不足している。 最新のブレークスルーとして、三連四重極型の質量分析計を用いたイメージングシステムは、極微量の脳内モノアミンやプロスタグランジンを高解像度で、前処理フリーでイメージングすることに成功した。この技術は、サンプルから直接生理活性分子をイオン化し、特異的なフラグメントイオンによる識別と信号の積算により、未解明だった複数の生理活性分子の局在を明らかにすることができた。これまでに取り組んできた免疫細胞の神経伝達物質によるコミュニケーション(文献1)、ウイルス感染組織における代謝リモデリング(文献2)などの空間オミクス解析が、より手軽かつ広く実施できる時代が近づいていると考えられる。これについて、その詳細を紹介する。 文献1:Nature 599 (7885), 471-476 文献2: Nature communications 14 (1), 8469 |
※本セミナーは医学系研究科、生命機能研究科、理学研究科の修士・博士課程の単位認定セミナーです。
Contact︓微生物病研究所生体統御分野 石谷太
研究室/内線:8358
mail: ishitani*biken.osaka-u.ac.jp (*を@に変えて下さい)
ポスター(PDF)はこちらから
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