最終講義「生殖細胞の研究」

 

 有性生殖を行う生き物では、雌が作る卵と雄が作る精子が受精することで新しい生命が誕生します。これらの生殖細胞は発生の早い時期に未分化胚細胞から分かれて出来てきますが、特殊な機能を持った卵や精子になるまでにはさらに複雑な分化過程が必要となります。特に哺乳類生物では雌の生殖細胞の増殖・分化は胎生期にほぼ完了します。これに比して雄の生殖細胞は、複雑な細胞増殖と分化を精巣内でほぼ一生涯を通じて、日々活発に継続して行います。さらに減数分裂後の半数体精子細胞の分化は、ヒトでは数週間も要する細胞分裂を伴わない特殊な過程であり大きな興味の対象となります。そこで、ヒトと同じ哺乳動物の仲間で、ヒトのモデルとして多くの共通点を持つマウスを使って、精子形成のメカニズムを解明するための研究を進めることにしました。 (2/5)

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