研究代表者紹介
梅津 桂子:奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス科・助手
e-mail: umezu@bs.aist-nara.ac.jp
ホームページ:http://bsw3.aist-nara.ac.jp/courses/c08.html
研究テーマ「染色体不安定性と相同組換え」
研究内容
染色体不安定性は発がん過程や老化に伴う染色体異常や進化の過程に於けるゲノムの再編の理解に不可欠な問題である。しかしながら、染色体異常に関する体系的な実験的解析が少ないために、その発生の分子機構や制御機構については不明な点が多い。そこで、S. cerevisiae 二倍体細胞をモデルとして用い、体細胞分裂時に生じるヘテロ接合性の喪失(LOH)に伴って生じる染色体異常について検討してきた。これまでに、LOHを定量的に検出するスクリーニング方法とそこで検出される染色体異常を分類する方法、及び、異常染色体の染色体融合点を塩基配列レベルで決定する方法を確立している。野生株、及び、相同組換え欠損株の解析より、細胞内では細胞増殖において組換え修復を必要とする内在性障害が頻繁に生じており、これらによる染色体の崩壊や複製阻害は組換え機構により回避されるが、その過程の一部は染色体異常・再編を引き起こすことが判ってきた。本研究の目的は、染色体不安定性に関与する遺伝子や染色体因子を同定していくことで、染色体不安定性の引き金となる原因とそれに引き続く組換えのプロセスの実態を分子レベルで明らかにすることである。
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