大阪大学微生物病研究所―文部科学省共同利用・共同研究拠点





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主な研究成果

遺伝子機能解析 (岡部研究室)

Protein disulfide isomerase homolog PDILT is required for quality control of sperm membrane protein ADAM3 and male infertility.

Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 109:3850-3855 (2012)2012/03/06

タンパク質のフォールディングに必要なS-S結合を触媒するPDI酵素(プロテイン ジスルフィド イソメラーゼ)は約20種類存在するが、精巣特異的な因子としてPDILTが報告されている。今回我々は、PDILTが精子膜タンパク質ADAM3のフォールディングに必須であり、そのノックアウト (KO) マウスが雄性不妊となることを見出した。ADAM3を失ったPDILT-KO精子は、見かけや運動性は正常であるにも関わらず、子宮から卵管に上れないために受精できなかった(遺伝子操作により蛍光を発する精子として観察)(図A, B)。しかし精子を人工的に卵管へ注入したところ、受精・妊娠・分娩に至った(図C, D)。今回の結果は、ADAM3を欠失した精子にみられる卵子透明帯への結合不全が不妊の原因でないことを示すだけでなく、広く研究者に信じられている精子と透明帯の結合の重要性そのものにも疑問を投げかける。

ゲノム病原細菌学研究 (飯田グループ)

VopV, an F-actin-binding type III secretion effector, is required for Vibrio parahaemolyticus-induced enterotoxicity.

Cell Host Microbe 10: 401-409 (2011)2011/10/4

本研究では腸炎ビブリオIII型分泌装置(T3SS)の新規エフェクター(VopV)を見出し、本菌の下痢原性に重要であることを示した。VopV の宿主細胞内での標的分子を探したところ、F-アクチンに結合することが明らかになった。VopVは6つのF-アクチン結合領域を持ち、それによりF-ア クチンを束ねる(bundling)活性を示した。興味深いことに、VopVのF-アクチン結合活性は、VopVの下痢原性に必須であった。さらに、コレ ラ毒素非産生性コレラ菌のVopVホモログも同様にコレラ菌の下痢原性に重要であることを示し、新規F-アクチン結合T3SSエフェクターVopVが、菌 種を越えて下痢原性に重要な役割を果たしていることを明らかにした。

免疫不全疾患研究 (木下研究室)

Sorting of GPI-anchored proteins into ER exit sites by p24 proteins is dependent on remodeled GPI.

J. Cell Biol. 194: 61-75 (2011)2011/07/04

細胞表面膜上には糖脂質グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)によって膜に結合する一群のタンパク質(GPIアンカー型タンパク質)が存 在する。今回、我々は小胞体におけるGPIアンカーの2つの構造変化がタンパク質の小胞体出口部位へのソーティングに必要であることを見出した。すなわ ち、PGAP1によるイノシトール残基の脱アシル化、およびPGAP5によるマンノース残基の脱リン酸化の不全細胞では、GPIアンカー型タンパク質が小 胞体出口部位へ濃縮されないために、輸送遅延が起こっていた。さらに、構造変化したGPIアンカー型タンパク質はp24ファミリータンパク質によって効率 的に認識され、輸送小胞に濃縮されることを明らかにした。GPIアンカー型タンパク質とp24ファミリータンパク質の結合はpH依存的であり、小胞体で両 者が結合し、輸送後に小胞体・ゴルジ体中間区画(ERGIC)またはゴルジ体で解離することが示唆された。我々の結果はp24タンパク質が正しくリモデリ ングを受けたGPIアンカーを認識し、GPIアンカー型タンパク質の小胞体-ゴルジ体間の輸送を行う積荷受容体として機能していることを示すものである。

自然免疫学 (審良研究室)

Toll-like receptors and their crosstalk with other innate receptors in infection and immunity.

Immunity 34:637-650 (2011)2011/05/27

Toll様受容体(TLRs)は病原体を認識に関わるパターン認識受容体ファミリーである。 TLRを介する病原体認識ならびに自然免疫応答惹起のメカニズムはよく理解されている が、C型レクチン受容体 (CLRs)、NOD様受容体 (NLRs)、RIG-I様受容体(RLRs)といった 新たなパターン認識受容体の発見により自然免疫系はより複雑かつ洗練された側面を 有することが近年示唆されつつある。本レビューでは、感染病原体に対する免疫応答 誘導におけるTLRsの役割ならびに病原体認識におけるTLRsと他のパターン認識受容体 とのクロストークを中心に紹介する。

ウイルス免疫 (生田研究室)

Acquisition of Human-Type Receptor Binding Specificity by New H5N1 Influenza Virus Sublineages during Their Emergence in Birds in Egypt.

PLoS Pathog. 7:e1002068 (2011)2011/05/26

高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1亜型は現在、中国、インドネシア、ベトナム、エジプトなどの一部地域において鳥類における感染流行域を獲得している。特に近年、エジプトにおける偶発的なヒト感染事例が頻発しており、2009年以降、全世界の半数以上のヒト感染事例が同国より報告されている。本研究では、エジプト流行株の系統発生およびレセプター糖鎖に対する結合特異性を包括的に解析した。その結果、これまでよりヒト型レセプター糖鎖に高い結合親和性を獲得した新しいウイルス群が鳥類間伝播の過程で出現していることを明らかにした。本研究結果は、現在エジプトでヒト感染例数が際立って多い原因を説明しうるものであると同時に、ヒトにより感染しやすい変異ウイルスが鳥類間伝播の過程で出現する可能性があることを示した初めての報告である。

遺伝子機能解析 (岡部研究室)情報伝達 (高倉研究室)

Pravastatin induces placental growth factor (PGF) and ameliorates preeclampsia in a mouse model.

Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 108:1451-1455 (2011)2011/01/25

妊娠高血圧症候群は妊婦の約7-10%にみられ、重症化すると子癇発作や肝機能障害を併発して母子ともに致死的な状況に陥ることもある。本研究で は、レンチウイルスベクターを用いて胎盤特異的に血管新生阻害因子 (sFLT1) を発現させることにより、妊娠高血圧症候群のモデルマウスを作製した。さらにスタチンの投与により胎盤成長因子 (PGF) が誘導されて治療効果を示すことを明らかにした。

過去の主な研究成果

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年




主な研究成果

遺伝子機能解析 (岡部研究室)

ゲノム病原細菌学研究 (飯田グループ)

免疫不全疾患研究 (木下研究室)

自然免疫学 (審良研究室)

ウイルス免疫 (生田研究室)

遺伝子機能解析 (岡部研究室)情報伝達 (高倉研究室)