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2001年12月〜現在(2009年12月)の概要

 2001年12月にオリエンタル酵母工業鰍謔闖o資を受けた本寄附研究部門の設置が微生物病研究所教授会と本学評議会で承認され、本研究部門は発足した。当初は今本文男教授と曽根岳史助手の2名でスタートし、その後Invitrogen社からの出資で青木千代子技術補佐員と山本智子事務補佐員が採用された。
 2002年4月より、オリエンタル酵母工業から吉田尚平研究員が派遣され本格的にInvitrogen社のGatewayクローニング技術を発展させたMultisite Gatewayクローニング技術の実用化に向けた研究が始まった。その年、経済産業省・NEDO「細胞内ネットワークのダイナミズム解析技術開発」プロジェクトに採択され、その根幹となる複数の遺伝子を細胞に導入する技術をMultisite Gateway法を軸に開発することとなり、佐々木ゆかり研究員と矢幡一英研究員が採用された。10月には、堀田純子研究員が採用された。また、NEDO「タンパク質機能解析・活用プロジェクト/ヒトの完全長cDNA等を利用したタンパク質機能解析/相互作用(蛍光イメージングによる解析)」プロジェクトにも蛍光タンパク質遺伝子をGatewayクローニング技術によってリンカーを介して連結する技術で協力することも決まった。
 2003年4月から佐々木ゆかり研究員が本学薬学研究科の博士課程に進み、2004年4月から矢幡一英研究員が本学薬学研究科の博士課程に進んだために、岸根弘依研究員と西村博美研究員が採用された。また、2004年4月より元感染動物研究部門教授の西宗義武先生を招聘教授にお迎えした。オリエンタル酵母工業からの派遣研究員の交代により吉田尚平研究員に代わり榎本哲郎研究員が派遣された。また本学理学部修士課程の学生として井上健君が本研究部門に配属された。さらに同年よりInvitrogen社との正式な共同研究が始まった。
 2005年4月には、西宗教授がタイ感染症共同研究センターのセンター長に就任されたため、元オリエンタル酵母工業長浜研究所所長の松雄雄志先生を招聘教授にお迎えした。また、堀田純子研究員と西村博美研究員の退職に伴い、博士課程を修了した佐々木ゆかり研究員と西海史子研究員が採用された。また、博士課程在籍中の矢幡一英研究員が理研研究員に採用され、理研の今本細胞核機能研究室との共同研究が開始された。また半年間、小田香里技術員が採用された。
 2006年度より、NEDO「ゲノム創薬加速化支援バイオ基盤技術開発 / 化合物等を活用した生物システム制御基盤技術開発」プロジェクトに採択され、Multisite Gateway法を用いて、蛍光識別標識系マルチcDNA発現クローンの作製と生細胞内動態観察による化合物スクリーニング系の構築、及び分子間相互作用を高精度に検出するFRETおよびマルチカラーイメージングによる共局在観察 (colocalization)の研究開発を行うことが決まった。2006年4月でオリエンタル酵母工業からの研究員の派遣が終了し、新たに安藤太一研究員が採用された。また同年8月には本研究室で開発したMultisite Gateway技術がMultisite Gateway Pro KitとしてInvitrogenより発売された。さらに同年11月末にオリエンタル酵母工業との契約が終了し、同年12月より新たにInvitrogenが出資する寄附研究部門として再スタートした。
 2007年3月に本学薬学科の博士課程を修了した矢幡一英研究員が、同年11月より長崎大学熱帯医学研究所の助教に就任した。
 2008年4月より新たに高田葉子研究員が採用された。2009年1月より佐々木ゆかり研究員が退職し、インビトロジェンジャパンのサービスラボに研究員として採用された。同年3月に理学部博士課程の単位を取得した井上健君も、インビトロジェンジャパンのサービスラボに研究員として採用された。
 2009年度より、NEDO「iPS細胞等幹細胞産業応用促進基盤技術開発」プロジェクトに採択され、安全かつ効率的なiPS細胞作製のための基盤技術の開発に携わることになった。同年8月井上健君が理学部博士号を取得した。同年、Invitrogen社の合併による社名変更に伴いLife Technologies社の寄附研究部門となった。


研究内容

 本研究部門(今本教授)は、Invitrogen社のMultisite Gateway(msGW)DNAクローニングに必要な6種類attシグナルの自由行使権を保持しており、これを用いた複数種cDNAの生細胞への同時導入用ベクターの構築と、これらの生理的発現量の制御技術開発を行っている。即ち、

1)生細胞へ迅速・確実(ハイスループット)に複数種蛍光標識遺伝子を導入するためのmsGWカセットDNAベクターの構築、

2)生理的発現量に適正なプロモーター・IRES類のシグナル開発、及びバイオイメージングのための蛍光タンパク質接続の改良・開発、

3)導入遺伝子の細胞内発現量の制御技術開発、及び細胞内の微量蛍光タンパク質の定量技術開発、

4)Cre/Lox、Flp/FRTΦC31 recombinase、等の部位特異的組換え酵素を用いた細胞染色体上の特定部位への遺伝子導入による安定で優れた形質転換細胞の創出、

の4課題を柱に研究を進めている。


 さらに詳しい本研究室の研究課題については、こちらを参照してください。

今本文男「細胞への遺伝子の導入と発現量の調節」(Web出版「病気のサイエンス」大阪大学微生物病研究所)