研究グループ
准教授(兼) | 小林 剛 |
特任講師(常勤) | 金井 祐太 |
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研究内容
図1 レオウイルスにおけるリバースジェネティクス系
1 ) 腫瘍溶解性レオウイルスを用いた癌治療に関する研究
哺乳類オルソレオウイルス(MRV)は、10分節の2本鎖RNAをゲノムとして持ち、レオウイルス科のモデルウイルスとして研究されています。MRVはRas経路が活性化した腫瘍細胞で選択的に増殖し、腫瘍細胞を溶解することから、頭頸部癌、大腸癌、乳癌、膵臓癌等の治療を目的とした、腫瘍溶解性ウイルスとして研究が進んでいます。MRVの癌治療研究は、これまで野生型のMRVを用いて行われてきましたが、殺腫瘍効果の観点から改良が望まれています。私達はMRVで応用が困難であったウイルス遺伝子の改変技術(リバースジェネティクス系)を導入・駆使することで、遺伝子改変MRVを作出し、より安全で治療効果の高い腫瘍溶解性MRVの開発研究を行っています。
哺乳類オルソレオウイルス(MRV)は、10分節の2本鎖RNAをゲノムとして持ち、レオウイルス科のモデルウイルスとして研究されています。MRVはRas経路が活性化した腫瘍細胞で選択的に増殖し、腫瘍細胞を溶解することから、頭頸部癌、大腸癌、乳癌、膵臓癌等の治療を目的とした、腫瘍溶解性ウイルスとして研究が進んでいます。MRVの癌治療研究は、これまで野生型のMRVを用いて行われてきましたが、殺腫瘍効果の観点から改良が望まれています。私達はMRVで応用が困難であったウイルス遺伝子の改変技術(リバースジェネティクス系)を導入・駆使することで、遺伝子改変MRVを作出し、より安全で治療効果の高い腫瘍溶解性MRVの開発研究を行っています。
2 ) 高病原性レオウイルスに関する研究
コウモリはSARSコロナウイルス、ニパウイルス、エボラウイルス、狂犬病ウイルスなど多くの致死的感染を引き起こす人獣共通感染症のレゼルボアとして注目されています。1968年にコウモリから分離されたPteropine orthoreovirus(PRV)については、これまでヒトや動物の疾患との関連性は報告されていませんでしたが、2007年、東南アジアで重篤な呼吸器症状を呈した患者において、PRV感染(Melaka株)が初めて報告されました。この報告以降、他のアジア諸国においても、同様の感染者が相次いで報告され、日本国内においては、私達のグループが、東南アジアから帰国後、重篤な急性呼吸器症状を呈した患者から、PRVの分離を行いました。これらの報告は、コウモリを起源とするレオウイルスが種の壁を越え、ヒトに感染伝播した結果と推察され、新興感染症としてのPRVの感染制御基盤の確立が望まれています。私達は、PRVにおける予防・治療法の確立を目指し、PRVの複製機構、病態発現機序の解明を行っています。
コウモリはSARSコロナウイルス、ニパウイルス、エボラウイルス、狂犬病ウイルスなど多くの致死的感染を引き起こす人獣共通感染症のレゼルボアとして注目されています。1968年にコウモリから分離されたPteropine orthoreovirus(PRV)については、これまでヒトや動物の疾患との関連性は報告されていませんでしたが、2007年、東南アジアで重篤な呼吸器症状を呈した患者において、PRV感染(Melaka株)が初めて報告されました。この報告以降、他のアジア諸国においても、同様の感染者が相次いで報告され、日本国内においては、私達のグループが、東南アジアから帰国後、重篤な急性呼吸器症状を呈した患者から、PRVの分離を行いました。これらの報告は、コウモリを起源とするレオウイルスが種の壁を越え、ヒトに感染伝播した結果と推察され、新興感染症としてのPRVの感染制御基盤の確立が望まれています。私達は、PRVにおける予防・治療法の確立を目指し、PRVの複製機構、病態発現機序の解明を行っています。
最近の代表的な論文
- Komoto S, Kawagishi T, Kobayashi T, Ikizler M, Iskarpatyoti J, Dermody TS, Taniguchi K. A plasmid-based reverse genetics system for mammalian orthoreoviruses driven by a plasmid-encoded T7 RNA polymerase. J Virol Methods. 2014 Feb;196:36-9.
- Boehme KW, Hammer K, Tollefson WC, Konopka-Anstadt JL, Kobayashi T, Dermody TS. Nonstructural protein σ1s mediates reovirus-induced cell cycle arrest and apoptosis. J Virol. 2013 Dec;87(23):12967-79.
- Boehme KW, Frierson JM, Konopka JL, Kobayashi T, Dermody TS. The reovirus sigma1s protein is a determinant of hematogenous but not neural virus dissemination in mice. J Virol. 2011 Nov;85(22):11781-90.
- Kobayashi T, Ooms LS, Ikizler M, Chappell JD, Dermody TS. An improved reverse genetics system for mammalian orthoreoviruses. Virology. 2010 Mar 15;398(2):194-200.
- Kobayashi T, Ooms LS, Chappell JD, Dermody TS. Identification of functional domains in reovirus replication proteins muNS and mu2. J Virol. 2009 Apr;83(7):2892-906