PLoS Pathog 9:e1003150 2013/02/07

インフルエンザウイルスは抗原の連続ないしは不連続変異を通して宿主免疫応答から逃れるため、世界各国で毎年流行が繰り返され、医学上ならびに公衆衛生学上その制御の重要性が謳われている。そして近年広範囲のウイルス株に反応するワクチンや治療薬の開発材料としてヒト型中和抗体の存在がクローズアップされている。本研究ではA型と比較して未だ研究が進んでいないB型インフルエンザウイルスの広範囲の株を中和するヒト型抗体の作製に成功した。本抗体は抗原性の高いウイルス膜タンパク質ヘマグルチニンの保存領域を認識していた。またマウスを用いた感染実験においても治療効果を示した。以上の結果より本抗体はB型インフルエンザウイルスに対する治療薬または広域性のワクチン開発の礎となる可能性が示唆された。