大阪大学21世紀COEプログラム 感染症学・免疫学融合プログラム
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大阪大学
RIMD 微生物研究所
研究課題:リンパ球ホーミングによる宿主応答機構の解析

■宮坂 昌之プロフィール
1974年 金沢医科大学血液免疫内科助手
1977年 オーストラリア国立大学ジョン・カーティン医学研究所留学
1981年 同大学免疫学博士課程修了、PhD 取得
スイスバーゼル免疫学研究所メンバー
1987年 東京都臨床医学総合研究所・免疫研究部門・室長
1992年 同・部長
1993年 大阪大学医学部附属バイオメディカル教育研究センター・教授
2001年 大阪大学大学院医学系研究科・細胞分子認識・教授
(機構改革により名称変更)、現在に至る
その他 大阪大学大学院医学系研究科・大学院教務委員長(2000年〜)
日本免疫学会サマースクール・オーガナイザー代表(2002年)
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■研究分担者
田中稔之
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■研究概要
リンパ節、パイエル板、脾臓などの二次リンパ組織は、自然免疫系、獲得免疫系の両者が共存し、かつ協調的に働きながら機能する生体防御のための「砦」であり、二次リンパ組織無しには有効な生体防御は起こり得ない。これらの二次リンパ節が協調的かつ有効に働くためには、免疫系の重要な担い手であるリンパ球が、これらの二次リンパ組織の間を時空間的な制御を受けながら臓器特異的に移動することが必要であり、これにより、限られた数のナイーブリンパ球クローンが全身の二次リンパ組織にくまなく供給されるともに、免疫系を調節する細胞もが全身に行き渡ることになる。この現象はリンパ球ホーミングとよばれ、免疫系の恒常性の維持および免疫反応の誘導・維持に必須の現象である。従って、本現象を分子レベルで理解することは、生体防御反応の人工的な制御にとりきわめて重要である。われわれはこれまで、リンパ球ホーミングの分子機構について詳細な解析を行い、リンパ球上のホーミング関連分子であるL-selectin, CD44が共通に認識する新規糖鎖構造としてGlcA?1/IdoA?1-3GalNAc(4,6-O-disulfate)を世界に先駆けて同定するとともに、リンパ球ホーミングを媒介する血管である高内皮細静脈(HEV; high endothelial venule)においてBリンパ球の移動を制御するケモカインとしてBLC (CXCL13)を初めて同定することに成功した。さらに、HEV周囲には複数のケモカインとケモカイン捕捉分子が同心円上に発現することを初めて明らかにし、リンパ球を特定の方向へと(血管の中から外へと遠心性に)移動させるための特異的な微小環境が存在することを解明した。そして、炎症反応の成立における免疫細胞の移動を媒介する接着分子群の数々を明らかにするとともに、本反応においてもケモカインの関与が必要であることを明らかにしてきた。免疫細胞のダイナミックな動態は免疫系の恒常性の維持のみならず、感染などに対する免疫反応の成立そのものに必須であることから、本機構の解明は生体防御機構の分子レベルでの理解に大きなインパクトを与えるものである。

リンパ節はリンパ球ホーミングが見られる「場」であり、自然免疫と獲得免疫間の連携が起こる「場」である。この場所にどのような免疫細胞が動員されるかにより病原体に対する宿主応答の様式が決定されることから、この分子機構を解明することはきわめて重要である。
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■本研究にかかわる業績
1. Nagakubo, D., Murai, T., Tanaka, T., Usui, T., Matsumoto, M., Sekiguchi, K. &
Miyasaka, M.: A high endothelial venule secretory protein, mac25/angiomodulin, interacts with multiple high endothelial venule-associated molecules including chemokines. J.Immunol., 171:553-561, 2003.
2. *Ebisuno, Y., *Tanaka, T., Kanemitsu, N., Kanda, H., Yamaguchi, K., Kaisho, T.,
Akira, S. & Miyasaka, M. (*equal contribution): Cutting Edge: The B cell chemokine CXCL13/B-lymphocyte chemoattractant is expressed in the high endothelial venules of lymph nodes and Peyer’s patches and affects B cell trafficking across high endothelial venules. J.Immunol., 171:1642-1646, 2003.
3. Kawashima, H., Atarashi, K., Hirose, M., Hirose, J., Yamada, S., Sugahara, K. &
Miyasaka, M.; Oversulfated chondroitin/dermatan sulfates containing GlcA?1/IdoA?1-3GalNAc(4,6-O-disulfate) interact with L- and P-selectin and chemokines. J.Biol.Chem., 277:12921-12930. [2002].
4. Hirose, J., Kawashima, H., Yoshie, O., Tashiro, K. & Miyasaka, M.: Versican
interacts with chemokines and modulates cellular responses. J.Biol.Chem., 276:5228-5234, 2001.
5. Kawashima, H., Hirose, M., Hirose, J., Nagakubo, D., Plaas, A.H.K. & Miyasaka,
M.: Binding of a large chondroitin sulfate/dermatan sulfate proteoglycan, versican, to L-selectin, P-selectin and CD44. J.Biol.Chem. , 275:35448-35456, 2000.
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