大阪大学21世紀COEプログラム 感染症学・免疫学融合プログラム
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研究実施計画

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研究実施計画

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大阪大学
RIMD 微生物研究所

本研究拠点は、医学系研究科と微生物病研究所に在籍する細菌学、原虫学、ウィルス学をそれぞれ専門とする感染症学の分野と免疫学分野の研究者が結集し、各分野の研究成果を相互交換しあい、さらに両者を融合させた以下に述べるような研究プロジェクトを立ち上げる。感染と宿主応答の分子基盤を追及し、感染症の制御、感染により免疫系の破綻に伴う各種免疫疾患の病因・病態解明を目指し、世界に冠たる感染症学・免疫学分野の研究拠点としてさらなる発展を図る計画である。


■研究実施計画
1) 感染の成立と初期宿主応答(自然免疫応答)の解析
病原微生物の宿主内侵入、定着、標的組織の決定に至る感染成立過程、さらにそれに対する宿主の生体防御機構を自然免疫系の活性化機構を中心に解析し、感染初期過程の病原体・宿主の相互作用機構を明らかにする。
(ヘルペスウィルスの細胞感染機構の解明、ワクチンの普及にもかかわらず世界で感染者が増加している百日咳の原因菌について、宿主との相互作用の解析により感染成立機構を解明する。また、TLRファミリーをはじめとする自然免疫系に関与する分子群のノックアウトマウスを用いて、各種細菌、原虫、ウィルスに対する宿主応答の変化を解析し、自然免疫系の感染防御における重要性を明らかにしていく。)


2) 感染病態の確立と宿主免疫応答(獲得免疫応答)の解析
病原微生物が宿主内に定着してから、感染を成立させるための病原体の毒性因子、増殖機構などの病原因子の解析、さらにそれに対する宿主応答機構を、獲得免疫作動機構を中心に解析する。また、病原体が免疫応答を回避し、感染を持続させる分子機構を解析し、感染成立後の病原体・宿主の相互作用を明らかにする。
(病原性大腸炎O-157に代表される腸管感染症を引き起こす病原細菌の病原因子(特に、毒素と定着因子)の解析による病態の理解、下痢などの原因となる腸管感染症の制御を目指す。原虫感染症のなかで重要な熱帯感染症の1つであるマラリア感染に対する宿主応答における獲得免疫系作動の分子機構を解析する。また、アフリカで睡眠病を引き起こすトリパノソーマの病原性の解析により、トリパノソーマの宿主感染防御の対策法を考案する。高率に慢性化するC型肝炎の原因ウィルス(HCV)は、まだ培養細胞径での増殖技術が確立されておらず、その感染機序、宿主応答機構の解析は進んでいない。HCVやヘルペスウィルスによる宿主への持続感染の分子機構を、ウィルスと自然免疫系の活性化誘導機構との相互解析から明らかにしていく。ジフテリア菌の感染で問題となるジフテリア毒素の宿主に及ぼす影響を解析する。さらに、宿主応答の分子基盤として、免疫セマフォリン分子群の生体防御系における役割を明らかにし、自然免疫系、獲得免疫系の作動機序を明らかにする。病原体だけでなく、免疫系細胞に発現しているGPIアンカー型糖脂質の宿主応答における役割についても解析する。)


3) 感染症の制御、免疫系の人工的操作技術の開発

上記の感染に伴う病原体・宿主の相互作用メカニズムの理解をもとに、感染症の根本的な制御を目指し、新たなワクチン開発を行う。また、感染に伴った免疫系の破綻により発症する免疫系疾患の病因・病態を明らかにし、その人為的操作による治療技術を可能にする。
(上記実験計画の基礎的研究成果をもとに、感染症撲滅に向けた新たなワクチン開発を目指す。特にマラリア原虫に対しては組換えSERA蛋白質を用いたSE36マラリアワクチンの臨床試験を目指す。)

4) 感染動物実験施設の整備
上記の感染と宿主応答の解析において必要不可欠となるP3感染実験システムを兼ね備えた感染動物実験施設を整備する。このような施設は、まだ全国的にも少数しか存在せず、感染に対する宿主応答の研究推進に大きな障壁となっている。微生物病研究所は、従来P3病原体を含む各種病原体の系統を維持しており、上記の感染動物実験施設の整備に最適の条件を備えている。また、種々の感染モデルの導入技術に習熟した研究者をCOE研究員として雇用し、常時感染実験を行える体制を整える。本研究拠点で整備する実験施設では、事業推進担当者の研究プロジェクトを行っていくとともに、P3感染実験室を備えた全国共同利用の感染モデル実験施設の設立を目指し、感染症学・免疫学の全国拠点を形成する。

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